美味しいコーヒーとは4 コーヒーの鮮度について
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美味しいコーヒーとは4 コーヒーの鮮度について

更新日:2021年5月18日



<美味しいコーヒー豆の条件>

1,良い原料(良い生豆)であること

2,良い原料を適切に焙煎すること

3,鮮度が良いこと(生豆の鮮度、焙煎後の鮮度)


今回は3の鮮度が良いことについて解説します。


長いテキストになってしまいましたが、がんばって最後までお付き合いください。

特に10℃2倍則はどんな食品や機械でも使われる概念なので知っておくと人生プラスだと思います。


まず、コーヒーにとって鮮度は3つに分類されます。

1,生豆の鮮度:焙煎する前の生豆が収穫されてから焙煎されるまで。

2,焙煎豆の鮮度:焙煎から液体のコーヒーになるまで。

3,液体の鮮度:液体のコーヒーから口に運ぶまで。


順に解説していきますが、その前に「鮮度が悪くなる=時間が経つ」ではないことを先に説明します。


辞書には鮮度とは「野菜・魚・肉などの新鮮さの度合。」と定義されています。

同じ時間が経っていても、保存状態によって鮮度は変わってきます。

特に保管する温度が大きく左右いたします。


10℃2倍則というものがあります。いわゆるアレニウスの法則です。

「『アレニウス』が提唱した物質の反応速度は、10℃上がる毎に2倍になるという理論。」食品の賞味期限の検証実験や機器の耐用寿命の計算にも活用されている法則です。


<例>

日本の常温を20℃とした場合、

30℃保存で鮮度の劣化は2倍、

40℃保存で4倍早まります。


一方


10℃保存で鮮度劣化は1/2

0℃保存で1/4

−10℃保存で1/8

−20℃保存で1/16


春や秋の常温を基準に、ざっくりと感覚を掴むなら下記のとおり。

・夏場の常温(30℃)は2倍の早さで劣化が進む

・冷蔵保存(5℃)は1/3の早さで劣化が進む

・冷凍保存(−20℃)は1/16の早さで劣化が進む

夏場の常温1日分は冷凍庫1ヶ月の速度で鮮度は劣化することになります。


長くなりましたが、10℃2倍則は鮮度を語る上で知っておくべき非常に重要な原則です。


それでは本題にいきましょう。


1,生豆の鮮度について:焙煎する前の生豆が収穫されてから焙煎されるまで。


高品質なコーヒーは主に中米、南米、東アフリカ、アジアの赤道付近の低緯度、高標高な場所で収穫されます。コーヒーの果実から種を取り出し乾燥させる等の精製工程を経て生豆と呼ばれる緑色の焙煎前の状態になります。


日本に輸入されるときにはこの生豆の状態です。

生豆の鮮度とは、単純に収穫から焙煎までに時間が経っていないことがもちろん大切ですが、原産国から焙煎までの置かれている温度状況が大きく左右します。

特に、コーヒー豆が栽培される高標高の場所は涼しい環境ですが、輸出する港は赤道付近の低緯度で低地です。当然暑いです。もちろん海の上も暑いです。

私が10年働いていたロースターの生豆はほぼすべて冷蔵温度管理されたコンテナ(リーファーコンテナ)で輸入してました。コンテナ代は倍以上かかりますが、10℃2倍則から鮮度への効果は絶大です。また、日本に届いてからの保管も低温か常温かでも大きくことなります。


生豆の鮮度は、収穫からの焙煎するまでの時間と常に温度の管理が肝だということです。


2,焙煎豆の鮮度について:焙煎から液体のコーヒーになるまで。


焙煎後の鮮度は「悪影響を与える4要素」と豆の状態か、粉の状態かに大きく左右されます。


焙煎豆を劣化させる4要素

・水分

・酸素

・紫外線

・温度


よくこの4つをあげることがありますが、要点を理解すれば簡単に鮮度を長く保てるようになります。


コーヒー豆の賞味期限は焙煎後2週間と記載している文献等もありますが、たった2週間で鮮度が落ちる状況とは結構劣悪な環境です。

常温(もしくは高温)保管、密閉容器でない透明容器という悪条件が揃っている場合です。正しく保存すれば、1年以上経ったコーヒー豆でコーヒーを淹れても美味しく飲むことも可能です。


では要素順に説明します。


水分:コーヒー豆の水分値が高いほど劣化は早まりますが、コーヒー豆の水分値が大幅に上がることはそうそう無いので普通に保管していれば無視していいと思います。


酸素:未開封で長期保存をしたい場合は窒素置換か脱酸素剤が入っている商品を選ぶとよいでしょう。

家庭で酸素をコントロールするのは難しいので酸素による影響は無視して構いません。


紫外線:透明の袋にコーヒー豆を保存していると影響を受けます。遮光性のある袋がよいです。透明な袋の場合は暗い場所で保管すれば紫外線の影響は抑えられます。


温度:10℃2倍則から冷凍庫保管がベストです。劣化の早さは常温の1/16に抑えることができます。


粉に挽く:豆に比べ圧倒的に鮮度の劣化が早まります。私の経験から50〜100倍は早くなると思います。


コーヒー豆の鮮度については以上のとおりです。


Nif Coffeeでは粉に挽いた物には脱酸素剤を入れ、粉に挽いたものを買われた方にも最後まで美味しくお飲みいただけるようにしております。スーパーに並んでいる大手コーヒーメーカー以外で脱酸素剤まで入れるコーヒー店は私は見たことありませんが、味を優先してそこまでやらせていただいております。


長々と書きましたが、Nif Coffeeのおすすめの保存方法

・粉は冷凍庫

・豆は長期保存は冷凍庫

・豆は一ヶ月程度で飲みきれるなら直射日光と高温多湿を避けた場所で常温保存もOK



3,液体の鮮度:液体のコーヒーから口に運ぶまで。


そもそも液体は変質する早さがめちゃくちゃ早いです。

ホットコーヒーは淹れたてを飲むのが一番です。

朝コーヒーを淹れて会社や外出に持っていくならアイスコーヒーをサーモスなどに入れるのをおすすめします。1日中鮮度を保ってくれ夕方でも美味しく飲めます。

ここでも10℃二倍則が出てきます。

90℃と60℃だと味の変質の早さが8倍も変わってきます、高温で保温するコーヒーメーカーで淹れたコーヒーすぐ美味しくなくなるのはこのためです。


温かいのを長く飲みたい場合はせめて60℃付近で保温するのをおすすめします。

私は以前mac bookを買った時付いてきたポイントで、興味本位で買ったemberのマグカップを使ってますがこれは結構良いです。

アプリで1℃刻みで温度設定ができて、バッテリーを積んでいるので1時間ぐらい保温してくれます。給電のソーサーに乗せておけばずっと保温してくれます。最後の一口まで温かいコーヒーを楽しめます。


apple


ember



知識を正しく理解していただこうとするとどうしても文章が長くなってしまいますが、

とにかく10℃2倍則(温度管理の重要性)を理解していただければと思います。


Nif Coffeeではコーヒーの正しい知識をどんどん書いて読者のためになるコーヒー記事をあげていきたいと思います。

素敵なコーヒーライフを送ってください。


小川健介

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