人気の手挽きミル"TIME MORE C2(タイムモア)"と"HARIO smartG(ハリオスマートG)"の検証レビューです。以前おすすめの電動グラインダーbodum BISTROの商品レビューをしましたので、今回は手挽きミルです。この細長い形状の携帯できるミルといえば、一昔前はポーレックス一択でした。手挽きミルを検討している方の為に選び方も解説します。特徴、挽いた感触、粉の品質、抽出、抽出液の味わいの順に観ていきましょう。
目次
1.良い手挽ミルとは
手挽きミルを作っているメーカーや機種は10年前と比べるとスペシャルティコーヒーの市場が大きくなるのと一緒に増えました。先日SCAJ2021に行った際にも、新しいコーヒー器具がたくさん並び、特に目立ったのは中国、韓国、台湾、この3カ国からきた器具が多くなった印象です。種類は増えましたが、何に着目して選べば良いのかプロ目線で解説しましょう。
まず美味しいコーヒーを飲むためには美味しいコーヒー豆を購入することが一番大切ですが、その次に味を左右する要素が挽いた粉の品質です。言い換えればミルやグラインダーの性能です。(ミルもグラインダーも同じような意味の言葉ですが、手挽きは「ミル」、電動は「グラインダー」っていいわけるような気がします)
良い手挽きミルの要素は次の4つに大きく分けられます。
・挽いた粉の品質
・デザインや握りやすさ
・挽き終わりまでにかかる時間と挽きごこち
・価格
・挽いた粉の品質
これは粉の粒のサイズが均一に挽けているいるかどうか?という均一性と、粉を挽いたときに出る微粉と呼ばれるココアパウダーのような非常に細かな粉が出る量で決まります。
粒の均一性と微粉の量この2つです。
粒ぞろいがばらばらで、大小粉のサイズが異なると、大きい粒に最適な抽出を行ったとすると、小さい粒は過抽出となり、重たい苦味がたくさん出てしまい、きつい味のコーヒーになります。逆も然り、小さい粒に合わせた抽出をすると、大きい粒はまだ味が出きらず薄い味にしあがります。
「抽出の基礎知識については下記の動画やその資料をご参考ください。」
スライド資料のダウンロードURL
https://gigaplus.makeshop.jp/nifcoffe... Coffee抽出基礎資料.pdf
なので、良い抽出をするためには挽いた粉の品質はコーヒー豆を選ぶ次に大切な要素となります。
・デザインや握りやすさ
せっかく買うなら自分が気に入ったデザインのものを選びたいですよね、更に手で挽く作業は結構力が必要で、握りやすさも重要です。サイズもキッチンの置き場を考えるうえで大切ですし、キャンプなどアウトドアで使うなら携帯性も気になります。フタのついてないミルだと粉が飛び散りますので、蓋付きを買うことをおすすめします。豆を入れる穴がめちゃくちゃ小さいやつもあったりするので選ぶ際はそこも要確認です。こなが落ちてくる場所が引き出しタイプのやつだと結構ドリッパーに粉を移すときにこぼしたり苦労します。
写真のようなフタが無くて引き出しタイプのものは見た目はクラシックでかっこいいですが、とても使いづらいのであまりおすすめしません。(私も写真と同じ形状をしたザッセンハウスのミルを買って使っていましたが不便だったなぁという感想です)
・挽き終わりまでにかかる時間と挽きごこち
今回"TIME MORE C2(タイムモア)"と"HARIO smartG(ハリオスマートG)"を比較レビューしましたが、ミルのサイズは両者ほぼ同じですが、挽き終わりまでにかかった時間と挽いたときに使う力や疲労感等の挽きごこちも結構違いました。
挽くのに時間がかかるミルだと結局電動グラインダーに買い替えたり、粉に挽いた状態で買ってきたりとだんだん使わなくなってしまいます。道具として使い続けたいと思う指標としてミルの挽きごこちはとても重要です。
・価格
コーヒーミルというのは、コーヒーを粉にするためだけの道具です。そしてコーヒーは粉の状態のものを買うこともできます。手挽きミルは電動のグラインダーと比べて価格は安価な場合が多いです。5000円程度する電動のプロペラ式のグラインダーを買うよりも、今回の"HARIO smartG(ハリオスマートG)"のほうが遥かに価格は安価で、挽いたときの粉の品質は高いです。
2.TIME MORE C2(タイムモア)の特徴
TIME MOREは比較的新しい手挽きミルのメーカーで台湾のメーカーです。
TIME MORE C2の特徴は作りがしっかりしていて、刃は金属製で鋭く、軸の部分は上下2箇所で固定されていて、摩擦部分にはベアリングが使われているので非常になめらかにハンドルが回ります。価格も7000円程度とそれほど高くはありません。デザインもお洒落で、専用の保存袋とお掃除用の刷毛までついてきます。豆受けはおよそ1〜2杯分の豆を淹れると満杯になってしまうので、3杯4杯とたくさんのコーヒーを淹れるなら何度か豆を入れて挽いてドリッパーに移して、豆を入れて挽いてドリッパーに移すという作業が必要です。粗挽きは少し苦手ですが、極細挽きから中粗挽きまでキレイに挽けますのでエスプレッソにも対応してます。
3.HARIO smartG(ハリオスマートG)の特徴
HARIOは老舗のガラスメーカーです、元々は理科の実験で使うビーカーやフラスコ等実験器具の製造を行っていたようですが、V60のドリッパーを筆頭に最近コーヒー器具にも力を入れているメーカーで、昔からあるメリタ、カリタ、コーノより新興ですが、すっかりコーヒー業界に定着しましたね。
HARIO smartG(ハリオスマートG)の特徴はまず安い、2200円程度で買えます。そしてクリアな見た目でおしゃれな印象もあります。少し四角い形状で素材は本体はプラスチックです。刃はセラミック製だそうです。細挽きから中挽きまで、粗く挽くのは苦手です。
豆受けはTIME MOREよりちょっとだけ大きいですが1〜2杯用程度の大きさで大差はありません。あと面白い機能として別売りの「モバイルミル スティック(写真)」約6000円を装着すると電動ミルに変化します。ミニと言う割には結構長いのでもう少し小さくできなかったのかとも思いますが、外出先で電動ミルは選択肢がとても少ないですし、家庭で使う場合でもコンセントがいらないのは便利かもしれませんね。
写真:HARIOウェブサイトより
4.両者の挽いた感じと粉の品質
ここからようやく両者の比較です。挽いてる感じはトップ画像をクリックしていただきyoutube動画を観ていただくほうがわかりやすいかと思います。
豆の量はコーヒーのカリタの10gメジャースプーンで2杯、使う豆はNif Coffeeのふつう(シティロースト)、挽いたときの粗さの設定を同程度に調整、どれくらいの時間で引き終わるか、挽きごこちはどうかを比べ、粉の状態を比較しました。
TIME MORE C2(タイムモア)
挽き終わるまでの時間:30秒
挽きごこち:サクサク挽けてそんなに疲れない、握ったときのグリップ感も良い、今までの手挽きミルとは異次元の挽きやすさで正直驚きます。粉も均一性が高く微粉も少ない、先日youtube動画で紹介したbodumのBISTROと比べても遜色無く、むしろ少し微粉はこっちのほうが気持ち少ないかもしれません。
HARIO smartG(ハリオスマートG)
挽き終わるまでの時間:1分50秒
挽きごこち:一般的な手挽きミルと同等な感じでそこそこ力がいる、握ったときのグリップ感も良い、普通に良いです、挽きごこち、粉の品質はタイムモアよりも少しだけばらつきがある印象で微粉も比較すると多いですが、十分キレイに挽けてると思います。ポーレックス(写真)が約7000円して、性能は同等なので価格を考えるとこのsmartGはコスパ良いと思います。
同じメジャースプーン2杯分の豆量を挽くのにかかった時間は1/3以下です、挽いた粉の状態もTIME MORE C2(タイムモア)の方が良好ですが、価格を考えるとHARIO smartG(ハリオスマートG)も十分健闘しているので価格のHARIO smartG(ハリオスマートG)か品質・性能のTIME MORE C2(タイムモア)かという感じでしょうか。
左:TIME MORE C2(タイムモア)/右:HARIO smartG(ハリオスマートG)
5.抽出と抽出液の味わい
両者同時に抽出してみました。粉に挽いた段階で微粉の量や均一性に少し差があったのでそれがどの程度抽出に現れ、味わいを左右するのか確認しました。
両者を同時に、全く同じように抽出してみましたが、TIME MORE C2(タイムモア)の方が早く抽出を終え、HARIO smartG(ハリオスマートG)は比較すると少し微粉の影響でペーパーが目詰まり気味となり抽出が遅くなり、最終的に抽出時間も長くなりました。
両者飲み比べた感想ですが、HARIO smartG(ハリオスマートG)単品で飲めばこれはこれで十分美味しいコーヒーです。極端にキツイ味わいのコーヒーになるわけでは無く、価格も相まって十分はなまるの結果だと思います。
対してTIME MORE C2(タイムモア)の方ですが、とてもクリーンで同じ豆を使い、同じように淹れたのにワンランク上の味がします。やはり粉の品質が高く、特に微粉の少なさが影響していると思いますが、キレイな味わいから、より甘みやきれいな果実味、華やかさを感じられました。
6.まとめ
両者比較して感じたことですが、TIME MORE C2(タイムモア)は新時代の手挽きミルだと思います。一方でHARIO smartG(ハリオスマートG)は今までの一般的な手挽きミルですが、価格の安さとオプションの「モバイルミル スティック(写真)」があり、こちらも独自の価値をもっています。
正直に言ってTIME MORE C2(タイムモア)の性能に驚きです。これが7200円なので、買おうかどうか迷っている方は、今すぐ買って良いぐらいおすすめです。今回白色を購入して検証しましたが、白は表面サラサラでした。黒色の方は表面がゴツゴツしていてよりグリップ感があり、毎日使うなら黒のほうが更に疲れず使えるので良いと思います。
HARIO smartG(ハリオスマートG)は性能は並の手挽きミルで価格が2200円と異常に安いこと、挽いた粉の品質が並なので、電動化の「モバイルミル スティック」を買うと9000円弱になってしまうので、それならbodumBISTROの方が粉の品質も良いし、早いしおすすめです。
bodumBISTROレビューyoutube
手挽きミルを日常として使うなら1〜2杯分ぐらいでしょう。そういう意味で考えると、豆受けが小さくても問題ありません。3〜4杯を毎日淹れるなら電動グラインダーをおすすめします。HARIO smartG(ハリオスマートG)で毎日たくさん挽いていたら腱鞘炎になってしまいます。
また、浅煎りのコーヒーを良く飲まれる方には手挽きミルはおすすめしません。
浅煎りのコーヒーは粒がとても硬いので手で挽くのにとても力が必要です。場合によっては女性では挽くことすらできないほど。
シティロースト以上の焙煎度合いを飲む方向けだと思っておいてください。
粉の品質はコーヒー豆の次に味わいを左右します。
1番大事なコーヒー豆の品質についてはNif Coffeeをご購入いただければ完璧です。
後は上手な抽出ができればプロの味が家庭でお楽しみいただけます。
下記の画像から淹れ方もご参考いただければ幸いです。
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